Slack ワークフローを使うと何ができるのか、要約と事例を集めてみた
先日 Slack にワークフローという自動化機能がリリースされた。どんな機能なのだろう?
色々と調査と試行を行ったので、要約と事例をまとめてみる。
要約
ワークフローとは?
Slack 上で頻出する「特定の人に特定のメッセージを投げたい」を省力化するための機能。
- ワークフロー = 「指定した出来事」が起きたら「指定したメッセージ」を「指定チャンネル or 個人」に投げる、を自動化したもの
- ワークフロービルダーという設定画面からつくる
- プログラミングは不要
- 画面ポチポチでつくれる感じ
ワークフローで何ができるの?
ざっくり言えば、以下二点。
- ピン留めで周知する必要がなくなる
- チャンネル入室時に案内メッセージが送信されるようにできる
- フォームを設置できる(回答してほしい内容を制限&統一化できる)
- 絵文字リアクションがついた時に通知が届くようにできる
使い勝手はどう?
機能不足感はあるが、簡単に使えるのが良い。
- o 簡単につくれる
- x まだできることが少なく、込み入ったことができない
- 複数チャンネルや全チャンネルに設置できない
- Webhook や他アプリとの連携の口が全くない
- スラッシュコマンドを発行できない
- ワークフロー作成時に条件分岐やループなど制御構文が使えない(構造的な手続きはまだ書けない
- ……
- x ワークフロー作成時に入力した日本語のバリデーションが弱く「なぜか問題が発生してつくれない」が生じて混乱しやすい
もう少し詳しく
→ こっち見て: Slack のワークフロー機能を少し試したのでまとめた - stamemo
事例
ググって見つかったもの、Twitter でツイートされていたもの、Qiita に投稿されていたものなどを雑多に紹介。ただし遊びやネタ的な使い方は割愛。
参考:
- Workflow examples - Slack Tips - Slack
- slack ワークフロー - Twitter検索
- 【速報】Slackの神・新機能「ワークフロー」使ってみた!これは仕事が超効率化する予感…! - SELECK [セレック]
オンボーディング
オンボーディングとはざっくり言えば「新規参入者に対して必要事項を素早く漏れなく教える」こと。詳しくは IT用語辞典 e-Words あたりを。まあ「新人に対する効率的なガイド」といったニュアンスか。
さて、定義はともかく、ワークフローを使えば「指定チャンネル入室時に指定メッセージを送信」ができるので、新人向けの案内も出せる。
いちいち「ピン留めしたこれ見てね」とか「メンバー増えてきたので再周知しますね → ピン留めしたメッセージを再投稿」とかいった手間もない。
日報や週報
日報や週報といった定期的に報告させたいネタは、人によって内容にばらつきが生じやすい。管理者やリーダーは「読みづらい」「結構流し読みしてる」ことも多いだろう。
ワークフローを使えば「指定チャンネルに "日報用フォーム"」を設置できるので、フォーマットも統一できるし、送信先をチャンネルではなく管理者自身にすれば「私だけが見えるよ(チームメンバーには見えないから本音書いていいよ」状態もできたりする。
まあ透明性のためにも、送信先はチャンネルにするのが良いとは思うが。
申請事項や依頼事項
請求書の依頼、物品や書籍の購入依頼、経費精算など雑務系の依頼は多数存在する。
ワークフローを使えば、指定チャンネルに指定フォームを設置することで一元化を図れる。
問い合わせ対応
人事への問い合わせをSlackワークフローで仕組み化してみた|Feedforceのnote の事例が興味深い。
フォームにてカテゴリ、質問内容、回答先を選ばせている。
- フォーム
- 質問1:「選択制」でカテゴリを選ばせる
- 質問2:「長い回答」で質問内容を書かせる
- 回答先:「選択制」で人事がどこに回答するかを選ばせる(パブリック or 個人宛)
- 運用
- フォームから送信された後、誰が対応するかは手動で決める
- 『労務メンバーはこれを見て、誰が対応するかを決めます』
優れた Web サービスの「お問い合わせフォーム」みたいなものを、手軽に Slack 上で実現できるわけだ。
絵文字がついたメッセージをログる
これは非常に賢いなと思った事例だが、
話題のSlack Workflowでヘルプページ化した方が良さそうなお客様からの問い合わせを瞬時に集約できる超簡易ワークフロー作った
— Yuta Maruyama (@yuta_maruyama) October 21, 2019
1. サポートが質問もらう
2. 以後コンテンツ(ヘルプページ)化できそうなら 「コンテンツ化!」スタンプ貼る
3. コンテンツ化チャンネルに瞬時に転送される
4. 全米が泣く pic.twitter.com/WF8nzLbwW7
2: 以後コンテンツ(ヘルプページ)化できそうなら 「コンテンツ化!」スタンプ貼る
Slack には「指定した絵文字でリアクションされたら」「指定チャンネル or 人に」「指定メッセージを送る」というワークフローがつくれる。また変数として「リアクションがついたメッセージ」も使える。
結果として「指定した絵文字がついたら、そのメッセージを別チャンネルに送信する(複製する)」ことができる。
つまり絵文字がついたことを契機として、特定のメッセージを別のチャンネルに保存できるのだ。
早く返事が欲しい場合の「~~さんが反応しました」通知
絵文字リアクションは通知されないため、「この対応終わったらここにこの絵文字つけてくれ」的なことをしても、いつ誰がつけたのかがわからない。メッセージ主はいちいち何度もチェックしなきゃいけない。
しかしワークフローを使えば「指定絵文字がついた瞬間、その旨をメッセージとして出す」ことができる。メッセージであれば通知もされる。結果として、「誰かが絵文字をつけたらすぐにわかる」を実現できる。
※もっとも Slack の良さは非同期コミュニケーションにあるため、このような「反応を急かす」運用は多用するべきではないのが。
ノウハウ共有系チャンネルの投稿フォーム
チャンネルとして「ノウハウを投稿して貯める」系のものを運用しているケースがある。この手のチャンネルでは「投稿者によってフォーマットがバラバラで見づらい」という問題が起こりがちだ。
ワークフローならフォームを設置することで解決できる。
ただし、フォームが煩雑すぎると投稿ハードルが上がるのには注意が必要だ。適宜、必須回答をオフにして「別に入力しなくてもいいっすよ」という軽さを出そう。逆に、ある程度の品質を担保したいのなら、バリバリ必須回答にする。
おわりに
Slack のワークフロー、楽しい。
今後の機能拡張と日本語のエラー強化に期待する。