Slack で日記を書く Slack 日記のすすめ

Slack 日記 とはその名のとおり、Slack で日記を書くこと。

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Slack は本来チャットツールだが、その書きやすさと遊び心は日記を書いたり読み返したりすることにも適している。

本記事では Slack で日記を書くことのメリット、手順、所感などについてまとめる。

Slack とは

はじめに Slack とは何かについて簡単に説明しておく。併せて「Slack 日記では Slack をどう使うのか」についても述べる。

Slack とはチャットツールである。メールやインスタントメッセンジャーよりも素早くコミュニケーションが取れる手段として重宝され、IT 界隈を中心に流行っている。最近は日本語版も提供され、国内企業の導入事例も増えてきた。

WHAT IS SLACK Slack overview.png 出展: Slack って何? – Slack

画面全体がワークスペースと呼ばれるもので、

  • https://(ワークスペース名).slack.com/ ← このような URL が与えられる。

ワークスペースはたとえるならオフィスだ。

サイドバー(左側の領域)に並ぶのがチャンネル。たとえるなら部屋。

右側が今開いているチャンネル。上記画像では #culture というチャンネルを開いている。ここにメッセージを入力すると、時系列でどんどん溜まっていく。ここでメッセージを書きあってコミュニケーションを取る。

Slack 日記では、この ワークスペースをまるごと「自分用の日記スペース」として使う

ワークスペース

一つの組織や部署やチームを表す単位。 https://(ワークスペース名).slack.com/ ← このような URL が与えられる。ワークスペースは招待された人のみアクセスでき、通常はプロジェクトメンバーや部署メンバーなど関係者のみを集めて使う。

Slack 日記では関係者は自分一人だけなので、いうなれば ひとりワークスペース になる。

チャンネル

1 チームに n 個存在する部屋。チャンネルにはチーム内のメンバー全員が見れるパブリックチャンネルと、チーム内でも選ばれた人しか見れないプライベートチャンネルがある。会社では「全員が見れる連絡用部屋」「管理職のみが見れる部屋」「プロジェクトAの部屋」「親しい若手のみが集まった部屋」など色々つくって運用する。

Slack 日記では自分一人なのでパブリックもプライベートも関係無い。扱いが楽なパブリックで良い

メッセージ

チャンネルに投稿したメッセージ一件一件のこと。時系列に並ぶ。いろんな便利機能があって、たとえば以下がある。

  • 太字など文字装飾
  • URL を投稿すると自動で紹介リンクになる
  • 画像をドラッグ&ドロップで投稿できる
  • というかファイルもドラッグ&ドロップでアップロードできる
  • クリップボードにコピーしたデータを Ctrl + V で貼り付けてアップロードもできる

大体なんでも投稿できることがわかる。

Slack 日記では、メッセージという形で日記を書いていく。といっても従来のように長文を一気に書くのではなく、思いつくままに短文をポンポンと投稿するイメージ。ただし、複数行でも書けるので、日記らしく長文をドンと投稿することもできる。

参考

Slack で日記を書くことのメリット

日記というとブログや日記アプリを用いるが、なぜあえて Slack を用いるのか。Slack で日記を書くと何が嬉しいかについてまとめる。

ブラウザさえあればどこからでも書ける

Windows でも MacOS でもスマホ(Android アプリと iOS アプリがある)でも、ネットに繋がっておればどこからでもアクセスし、書くことができる。

ファイル管理に頭を悩まさなくていい

日記を書こうとすると「ファイルをどこに置こうか」「日記のフォーマットはどうしようか」といった問題に悩まされるが、Slack を使えばそういった迷いはなくなる。ただメッセージを放り込んでいくだけでいい。Slack が時系列に並べてくれる。

画像挿入も簡単

ドラッグ&ドロップして注釈を入れるだけ(注釈は入れなくてもいい)。かんたん。

絵文字が使える

豊富な絵文字を簡単に挿入できる。

絵文字は一覧から選択して入れるか、:smile: みたいに専用の記法を書けば挿入できる。

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検索できる

全文検索ができる。キーワードを入れるだけで、該当する日記(もっというとメッセージ)を一覧表示してくれる。その他、検索条件を指定すれば「今月のみから検索する」といったテクニカルな検索もできる。

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Slack 日記でできないこと

今度は逆に Slack 日記のデメリットとして「Slack 日記ではできないこと」についてまとめる。併せて「ならそのできないことをどうやってカバーするのか」についても述べる。

Slack は一般的なブログや日記アプリのような使い方とは根本的に異なる、ということを意識しておきたい。

カレンダー

ブログや日記アプリにはカレンダー機能があり、指定月の指定日の内容にカレンダーベースでアクセスできる。が、Slack にはこのような機能はない……というと嘘になるが ブログや日記アプリほど洗練されたカレンダーではない

Slack 日記で過去の日記にアクセスする場合は、主に以下のようなやり方になる。

  • 方法1: 過去日記が書かれたチャンネルを一覧から探して、それを開く
  • 方法2: 検索条件を工夫して検索する
    • 例1: 指定したキーワードを含む日記を検索する
    • 例2: 「今月投稿された日記」のみを検索する

カテゴリ・タグ

特にブログでは各記事にカテゴリやタグを付与し、後から指定カテゴリ・タグに該当する記事のみを表示する……といったことができるが、Slack 日記ではできない。また、実現する方法もない。

Slack 日記では 「カテゴリやタグで分ける」という発想そのものを捨てる必要がある

インターネットへの公開

特にブログはインターネット上で公開することを前提としているが、Slack 日記ではできない。

他者に見せようと思えば、他者を招待することになる。「夫婦で日記」「友達同士で日記」といった用途には向いているかもしれない。

Slack 日記は 他者への公開を前提としない、クローズドな日記として楽しむものだ

他ブログ形式へのエクスポート

たとえばブログだと「はてなブログに移行したいので記事データを MT(Movable Type) 形式でエクスポートする」といったことができるが、Slack 日記ではできない。

Slack がサポートするのは「すべてのチャンネルを json 形式でエクスポートする」ことのみ。json 形式というのはプログラマーがプログラムで扱うのに適した形式で、これだけで他のブログにインポートできるわけではないし、何らかの閲覧ソフトで日記アプリみたく見易く表示できるわけでもない。 あくまでデータをダウンロードできるだけ と言える。

※もちろん json を扱えるプログラマーであれば、他のブログにインポートする形式に変換したり、自分で閲覧ソフトをつくって表示するといったこともできる。

Slack 日記をはじめる ~アカウント作成~

前置きはこのくらいにして、具体的手順に入っていこう。

はじめるのに必要なものは以下のとおり。

  • 自分ひとりが使う用 の Slack ワークスペース

Slack ワークスペース一つで良い。 ワークスペースを作成する | Slack より作成できる。メールアドレスは必要だが、無料で作れる。

アカウント作成方法については、既にヘルプが充実しているので、本記事では詳細は割愛する。リンクのみ以下に示しておく。

Slack 日記をはじめる ~日記の書き方~

日記用のワークスペースを手に入れたら、次はどうやって日記を書いていくかと知っておく必要がある。正直言えば個々が好き勝手に使えば良いと思うが、本記事では「こうやると上手く運用できる」と筆者が考える 一つのやり方 を示す。

手順としては

  • (1) 当該月のチャンネルをつくり、
  • (2) そのチャンネルに日記を書き込んでいく

この二段階になる。

(1) チャンネルの作成

まずチャンネル作成だが 月単位 でつくる。これ以上大きい単位だと後で読み返しづらいし、これ以上小さい単位だとチャンネルが乱立して管理が面倒だ。月単位がちょうどいい。

つくる際は「パブリックチャンネル」にすること。パブリックといっても、このワークスペースにおいてパブリックという意味でしかない。Slack 日記では自分ひとりしかいないので、パブリックでいい。

つくり方は簡単だ。+ボタンから作成画面を開く。

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チャンネルをつくる際、チャンネル名はフォーマットを統一しておきたい。具体的には YYYYMMDD_表題 という形にする。こうすることでチャンネルが時系列に並び、後で読みやすくなる。表題については、次の月に行く際に「最も印象だったこと」などを書いておくといいだろう。表題を書いておけば、後で探す時に記憶を辿りやすくなる。以下に例を示す。

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(2) 日記の書き込み

続いて日記の書き込みだが、これは単に当該月のチャンネルにポンポン書き込んでいけば良い。 必ずしも「その日の日記全文」を「一度に」投稿する必要はない。五月雨式に、思いつくままに書けば良い。それが Slack 日記の醍醐味の一つだ。

しかしながら複数行の長文を書くこともできる。

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この場合、Enter キーで改行ではなく投稿されてしまうのが煩わしいため、必要なら設定変更しておくと良い。

参考: メッセージフィールドに送信ボタンを追加する – Slack

投稿日時については、Slack 側が自動的に表示してくれるので、こちらが入力する必要はない。ラクチンだ。

画像も簡単に投稿できる。画像ファイルをドラッグ&ドロップして、表題を入れるのみ(表題は空欄でもいい)。

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絵文字で気分を表してみるのも良いだろう。

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Slack 日記をはじめる ~日記の読み方~

書いた日記を読む方法は主に三通りある。

  • (1) チャンネル一覧から辿る
  • (2) カレンダーから巡る
  • (3) 検索から探す

(1) チャンネル一覧から辿る

サイドバー(画面左部分)内の一覧から読みたいチャンネルを選べば、そのチャンネルを開くことができる。

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開いたら、投稿した日記がずらりと表示されているはず。 過去の日記を読みたい場合は、「上に」スクロールする。これはブログや日記アプリとは違った操作感なので、最初は慣れないかもしれない。

(2) カレンダーから巡る

上記で「Slack 日記ではカレンダーは使いづらい」旨を書いたが、ここで詳しく取り上げておこう。

この巡り方は「今開いているチャンネル内の、指定した日の日記を見たい」場合に適している。

やり方としては、見たい日記のチャンネルを開いた後、カレンダーを開く。

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あとは見たい日をカレンダーから選べばいい。

このカレンダー機能の使いづらいところは、表示範囲が 「現在の月」 から「このチャンネル内に存在する最も古いメッセージの投稿日時の月」まで、ということだ。今が 2018 年 10 月で、2016 年 12 月の日記を開いている場合、2018/10 から 2016/12 まで辿らなくてはならない。しかし、年部分をクリックすれば年単位でのページ送りが可能となり、多少は移動しやすい。

もう一つ、一番使いづらい仕様があって、カレンダー内に「どの日に投稿があるのか」が表示されない ことだ。もちろん日ごとに投稿画像がプレビューされるなんてこともない。Slack は日記アプリではないので致し方ない。

(3) 検索から探す

Slack には指定したキーワードに合致するチャンネルとメッセージを表示する機能があるので、これを使って目的の日記を探すことができる。

単にキーワードを指定しただけだと全チャンネルが検索対象になる。これだと範囲が広すぎるという場合、もう少し絞り込める。たとえば期間で絞り込むと良い。

その他詳しい検索方法は以下を参照。

Slack 日記をはじめる ~日記の整理~

ここまで「チャンネルに日記を書く」「チャンネルは月単位くらいでつくる」といったやり方を書いてきた。ここで問題となるのが、日記を格納した各チャンネルの表示方法だ。もっというと、サイドバーのチャンネル一覧を上手いこと並び替えたり、見ないものを消したりといった話である。

本節ではそういったチャンネル一覧の整理に役立ちそうなチップスを雑多に挙げる。

サイドバーからチャンネルを非表示にする

指定したチャンネルをサイドバーから非表示にするには、そのチャンネルから退室 すればよい。右上のギアアイコンから「~~から退出する」を選べば退室できる。

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ここで入退室について説明しておくと、Slack における「チャンネル」は言うなれば「部屋」であり、利用者は自分が参加したい部屋に「入室」することでメッセージを投稿する、という使い方になっている。サイドバーには入室したチャンネルが表示される。逆を言えば、退室すればサイドバーからは非表示になる

※Slack では入室を「参加」、退室を「退出」と表現しているが、わかりづらいので本記事では「入室」「退室」で統一する。

非表示にしたチャンネルをサイドバーに表示する

これは逆に、チャンネルに入室すればいい。

退室済のチャンネルについては、サイドバーの「チャンネル」ヘッダー部分をクリックして開いた「チャンネル一覧」よりアクセスできる。検索して絞り込みもできる。

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現在月のチャンネルを一番上に表示したい

これを行うには便利な機能がある。スターをつければいい

スターは重要なものに強調マークを付ける機能であり、Slack を始め色んなサービスで登場する概念だ。といっても、印を付けるだけなので使い方はかんたん。

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チャンネル一覧の表示順を思い通りに制御したい

これは意外と手間がかかる。

まず「ドラッグ&ドロップで好きな順に並び替え」といったことはできない。が、全く融通が効かないかというと、そうでもない。色んな設定を駆使して望みの表示順を何とか実現する、という具合になるのだが、詳しくは下記を参照。

参考: サイドバーの表示を管理する – Slack

Slack 日記をはじめる ~おわりに~

ここまでで Slack 日記に必要な手順や考え方は一通り紹介したつもりだ。これでもう Slack 日記を始めることができる。使い方がわからなければ 公式ヘルプ を見るのがおすすめ。わかりやすくまとまっていて、ためになる。

さあ、Slack 日記を始めよう。

雑多なトピック

以降ではその他のネタとして、知っておくと良いかもしれないネタを雑多に述べる。適宜読んでいただくと、新たな発見や便宜がもたらされるだろう。

有料プランについて

Slack ワークスペースは無料でつくることができるが、この時は無料プラン(フリープラン)になっている。一方で、Slack には月額制の有料プラン(スタンダードプランやプラスプラン)があり、これを購入することで 無料プランには無い機能が使えるようになる

といっても Slack 日記で役立ちそうなのは以下くらいか。

  • メッセージ検索の対象となるメッセージが直近 10000件 → 全メッセージになる
  • アップロード可能なファイルサイズが 5GB → 10GB になる

Slack 日記用途なら基本的に無料で事足りる。10000 件や 5GB では足りなくなった時にまた検討すれば良いだろう。ちなみに有料プランはスタンダードが月850円、プラスが月1600円。買うにしても、プラスは日記利用には過剰なので、スタンダードで十分である。

バックアップ(エクスポート)について

Slack に投稿した日記データをバックアップ(エクスポート)しておきたい、というニーズも多いだろう。

不可能ではないが、少々手間だ。やり方は二つある。

  • (1) Slack の機能を使う
  • (2) 外部ツールを使う

(1) Slack の機能を使う

Slack には Standard Export という、すべてのチャンネルデータをエクスポートする機能がある。これを使えばエクスポートは可能だ。

詳しい手順やファイル形式については以下も参考に。

(2) 外部ツールを使う

Slack 上のデータをバックアップするツールも複数存在する。詳しい方は探してみると良い。

参考:

既存の Slack ワークスペースで Slack 日記を始めるには

二通りあると思われる。

  • (1) 既にひとりワークスペースを持っていて、そこで Slack 日記を始めたい場合
  • (2) 既に会社やコミュニティ等で参加しているワークスペースがあって、そこで Slack 日記を始めたい場合

(1) については、チャンネル名を工夫すれば今すぐ始められる。その際、日記であることがわかるように diary_YYYYMMDDYYMMDD_nikki のように固有文字列を入れておくとよい。検索で探しやすくなる。

(2) については、プライベートチャンネルをつくる権限があるなら可能だ。自分一人が参加するプライベートチャンネルをつくればいい。ただし、エクスポートを行うことはできない(やり方は用意されているが許可制であり日記ごときの用途で許可が下りることはないだろう)ので、データを外に出すのは諦めるしかない。

#general チャンネルを非表示にしたい

残念ながら不可能である

#general は全員が必ず参加するチャンネルであり、Slack の仕様で退室できないようになっている。元々は「全員に伝えるべき連絡事項などを共有する」用途なのだが、ひとりでワークスペースを使う Slack 日記では正直要らない。しかし消せない。なので放置するなり、投稿のテストをするなり、適当に使おう。

ちなみにチャンネル名を変えることはできるので、general が気に食わないなら別名にするのもアリ。

おわりに

以上、(半分くらいの Slack の使い方解説になってしまったが)Slack 日記についてまとめてみた。

長々と書いたが、要するに Slack という「(本来はチャットツールだが)使いやすい Web サービス」を日記として使ってみるというだけの話である。Slack というと「なんだか難しそう」というイメージがあるかもしれないが、直感的に使えるし、日本語のヘルプも充実しているし、でハードルは下がっているように思う(少し前は英語のみだった)。

日記の手段に迷っている方は、ぜひお試しあれ。