Windows の PC 設定と周辺機器を最適化してストレスと労働時間を削減する

働き方改革が盛り上がっているが、個人的には仕事道具である PC の設定最適化も重要ではないかと思う。重たい、遅い PC で何秒何十秒何分と何度も待たされるのに平然としている人が意外と多くてびっくりする。ここを改善できれば、一日数十分から1時間くらいの労働時間削減には繋がると私は思っている。

どのような設定をすればいいかという考え方や方法を雑多に書きたい。

前提

  • Windows 7/10 を想定する
  • セキュリティ問題については言及しない(たとえば「アップデート頻度を下げたらセキュリティ上問題があるのでは」といった類の議論)
  • 制約のキツイ会社を想定する(個人や小規模チームには当てはまらないかも)
  • Windows カスタマイズを問題無く行える知識を持っていることを想定する
    • レジストリやコマンドプロンプトをいじれる
    • ググって調べて試す要領を持っている
    • ……

軽い PC を使う

据え置きPCを使う(シンクラは使わない)

シンクラ(ここでは VDI を想定)の利用を推奨させる会社は(特に純粋なソフトウェア企業でなければ)多いかもしれないが、シンクラは据え置き PC よりも圧倒的にストレスが溜まる。

  • 画面を転送をするため描画が重い、遅い、滑らかじゃない
  • 無線通信のため、通信品質にムラがある(遅くなる、繋がらなくなる等)
  • 自マシンを自由にカスタマイズできない
    • たとえばシステム設定やレジストリをいじって軽くしようとしても、そもそもいじれないように制限されている

シンクラと据え置きPCの関係を住居でたとえるなら、

  • シンクラ → 社宅
  • 据え置きPC → 持ち家

みたいなもの。持ち家の利便性を知らない人には、そこそこの環境を整えてくれるためかえって楽なのだが、持ち家を持っている人からすると窮屈で不便で不自由である。

持ち家派の人はシンクラには出来るだけ抗おう。でないとシンクラのストレスにずっと晒され続けることになる。

メモリを増設する

メモリが少なくて動作が重たい場合、下手な小細工や設定を頑張るよりもメモリ増設しちゃった方がグンと快適になる。申請やら手続きやらが面倒くさくても掛け合ってみる価値はある。

電源は入れっぱなしにする

起動に時間がかかる Windows を毎日バカ真面目に起動する必要はないし、今時の PC は電源入れっぱなしでも簡単には壊れない(環境による)。また電気代もたかが知れている。もし許されるなら、電源は入れっぱなしにしておく。

  • Windows は起動してから利用可能(バックグラウンドで重たい処理が走っていない)になるまでに 10 分以上を要する
  • アップデート等の再起動は空いた時にでもやればいい
  • 使っていない時に CPU のファン音などが気になるようならスリープや休止状態を使う
  • 勝手にスリープや休止状態にならないよう電源オプションの設定は見直しておく

許されていない場合でも、理由次第では許してもらえる。たとえば「評価でプログラムを夜間も運転し続ける必要がある」など。

また、許される部署に所属することも重要かもしれない。たとえば事務総務部署よりは、製品開発部署の方が、既に自前で何個も何十個のサーバーを常時立ち上げているわけだから、電源入れっぱなしにも寛容である。

PC の動作を軽くする

アップデートやスキャンの実行スケジュールを見直す

問題:

  • アップデートやスキャンといった処理はえてして重たい
  • ブラウザやテキストエディタさえカクカクするほど重くなることも
  • HDD がブンブン鳴ってうるさい、集中を乱される

対処:

  • 実行スケジュール設定を見直す
    • 例1: PC を使っていない昼休憩中にやらせる
      • 毎日10:00 → 毎日12:10
    • 例2: PC を使っていない深夜にやらせる
      • 毎日10:00 → 毎日23:00
    • 例3: 頻度を減らす
      • 毎日10:00 → 3日に1回
    • 例4: 起動時トリガーをなくす
      • システム起動時 → 無し
  • リアルタイムスキャン対象に例外を設定する
    • 例1: テキストファイルを溜めたフォルダ
    • 例2: 常時立ち上げている実行ファイル(ブラウザやエディタや Office)

もちろん会社規定等でルールが定められている場合は逸脱しない範囲で設定すること。とはいえ「どうせガッチガチでしょ」と最初から諦めるのはもったいなくて、案外融通を効かせられるようになっていたりする。

不要ファイルをローカルに置かない

会社 PC ではウイルス対策ソフト等のスキャンが働いているかと思う。もっというと ローカルに置いてるファイルが多ければ多いほど、これら動作の実施時間も長くなる。逆を言うと、ファイル数やファイルサイズを根本的に減らせば、その分短くできる。

ファイルの整理方法について(長くなるので)割愛。

余計な視覚機能やお節介機能をオフにする

Windows には余計な視覚機能やお節介機能が多数あり、デフォルトでは有効になっていて地味に重たい。一通りオフにしておくと違う。

Windows 7/10 でもぜひ設定しておきたいのは以下。見栄えはクラシックになるが Windows の(特にウィンドウ表示/操作まわりが)グンと軽くなる。

  • システムのプロパティ > 詳細設定 > パフォーマンス 設定ボタン > 視覚効果タブ > パフォーマンスを優先する

Windows 10 の場合、以下は見ておきたい。(Win7の場合はコントロールパネルから類似する設定を探せるはず)

  • 設定 > システム > 通知とアクション
  • 設定 > プライバシー
  • 設定 > 簡単操作 > キーボード
  • 設定 > 簡単操作 > マウス

余計なスケジュール実行をオフにする

Windows にはタスクスケジューラという特定スケジュールに特定プログラムを実行させる仕組みや、サービスというシステム起動時にプログラムを実行させる仕組みがあるが、ここにも Windows の余計な機能が多数登録されている。不要な分は無効にしておく。

  • タスクスケジューラライブラリ > Microsoft > Windows 配下
  • 管理ツール > サービス

基本的にはググって意味を調べて、大丈夫そうなら無効にする……という実験的アプローチになる。注意したいのは、ここらには Windows の動作に必須となる分も含まれているということ。無闇に無効にすると最悪 Windows が動作しなくなる。

(無効にする例) タスクスケジューラライブラリ > Microsoft > Windows > Application Experience は無効にしておくとよい。これは「カスタマー エクスペリエンス向上プログラム」というもので、Windows 利用者の利用情報を Microsoft に送信するための仕組み。CPU やらディスクやらをガリガリ動かすので地味にうざい。

参考:

重たいプロセスが動いてたら原因を突き止めて殺す

急に CPU のファン音がうるさくなったり、動作が重くなったりした時は誰かが悪さをしているのでソイツを突き止める。また、再び悪さをしないように対処もする。

誰かを突き止める:

  • タスクマネージャや Process Explorer を使う
  • CPU使用率(CPU Usage)を見るといい

対処する:

  • プロセス名やコマンドライン等でググって正体を掴む
  • 殺しても良さそうなら殺す
  • 起動設定などをあたり、良さそうなら無効化する
    • たいていサービスやタスクスケジューラだったりする

Internet Explorer は使わない

ブラウザとして IE(Internet Explorer) は使わないこと。IE は描画や Javascript の処理が遅かったり、UI が使いづらかったりしてストレスが溜まる。IE を使い続ける行為は、テキストエディタとしてメモ帳を使い続ける行為に等しい。

Flash Player を使わない

Flash Player は度々アップデートが入るので煩わしい上、脆弱性を突かれてウイルスやら何やらにやられるわけにもいかないためアップデートを無視するわけにもいかない。面倒くさい。使わずに済むなら使わなくていい。

(余談) アンチウイルスソフトとのトレードオフ

企業利用の例ではないが、余談として書いておきたい。

アンチウイルス(ウイルス対策ソフトウェア)が無いとウイルスに感染してしまうが、アンチウイルスはこれ自体がウイルスじゃないかってくらいに動作が重たい。かといってアンチウイルスを全く利用しないのは、それはそれで危険で、ウイルスに感染すると一発で被害が出てしまう。

どうするかというと、これはトレードオフなのかなと思う。

  • (1)有償アンチウイルス: ウイルスには強いが、動作が重い
  • (2)無償アンチウイルス: ウイルスにはやや強く、動作もやや重い
  • (3)アンチウイルス未使用: 動作は軽いが、ウイルスには弱い

企業利用なら (1) になっているはずで、当然アンチウイルスを切り替えることもできない。たとえば「会社で使ってるアンチウイルスが重たいんで、こいつはアンインストールして、俺は Windows Defender 使いますわ」なんてことはできない。できることと言えば、上記でも少し述べたが、アップデートやスケジュールの実行スケジュールを見直すなど、設定面で工夫して少しでも軽くすることだ。

(3) は論外だろう。PC 初心者がたまに (3) だったりして、デスクトップやホームページに変な画像やアイコンがあったり、動作が妙に重たかったりするのを見ることはある。一方、PC に詳しい人間なら、Flash Player やダウンロードしたファイルの扱いなどウイルス感染経路に気をつけたり、閲覧サイトや使用ソフトを限定したりすることで (3) でもやっていけるかもしれない。しかし、ウイルスの攻撃は多彩で、全てを人手で防ぐのはまずムリだから、(1) なり (2) なりで機械にまかせて保険をかけておきたいところではある。私も出来れば (3) にしたいが、まだ試せるほどの勇気と知恵はない。

(2) は (1) を嫌う場合の選択肢として、個人 PC 利用なら多数を占めるだろう。上記では「ウイルスにはやや強く、動作もやや重い」と書いたが、いくつかバリエーションがあって、

  • ウイルスにはやや強く、動作もやや重い(有償アンチウイルスより弱いが、軽さは勝っている)
  • ウイルスにはやや強いが、動作が重い(有償アンチウイルスの劣化版)
  • ウイルスにはあまり強くないくせに、動作が重い(有償アンチウイルスの劣化版の劣化版)
  • ウイルスにはあまり強くないくせが、動作はやや重い(軽いけどアンチウイルス機能も弱い)

などがある。ソフトによって特徴は異なるので、よくよく調べて選ぶことになる。

※具体的なソフト名を挙げて議論するのは割愛する。

ワーキングメモリの負担を軽くする

ワーキングメモリ(短期記憶)とは、作業を進めるために一時的に記憶するための(脳の)記憶領域のことだ。あるいはそのような「一時的に記憶する」という概念を指す。

ワーキングメモリに負担をかけるとしんどいので、なるべく和らげてあげることが大事。

大きなディスプレイを使う

小さな画面だと「こっちに表示されていた内容を頭に入れた上で」こっちにスクロールする、みたいな作業が頻発する。いちいちスクロールバーを動かしたり、ウィンドウをドラッグ&ドロップしたりして行き来することになる。画面が大きければ全体を丸々表示できるので、そのような行き来が生じない。

これは当たり前のことだが、(私の観測範囲では)見落としている方も多いように見受けられる。

スマホと PC とでは、PC の方が(画面が大きいから)圧倒的に作業しやすい。これはわかる。実際、スマホで仕事しようとする物好きはそうはいまい。同様に、小さなノート PC のディスプレイと大きなディスプレイとでは、後者の方が断然作業しやすい。しかし前者の、小さなディスプレイのままで仕事する人が多い。ディスプレイを一台入手して、そっちに投影(というより後述のデュアルディスプレイにするケースが多いかと思うが)してやれば後者が手に入るのに、である。これはあまりにもったいない。

もっとも「新しくディスプレイを調達するのが難しい」ケースもあるだろうが、多少の面倒をかけてでも手に入れる価値はあると思う。

デュアルディスプレイ

  • LV1: 小さなディスプレイ
  • LV2: 大きなディスプレイ
  • LV3: デュアルディスプレイ(ディスプレイ2台)

小さなディスプレイよりも大きなディスプレイの方がワーキングメモリの負担が少ない。同様に、ディスプレイ1台よりもディスプレイ2台の方が負担が少ない。

ただし、本質的には「画面を広くしたい」だけであるから、ディスプレイ1台でも広くできる(高解像度のディスプレイを使う等)のならそうしてもいい。

使いやすい道具を使う

会社から支給された道具をそのまま使い続けるケースが散見されるが、支給品はたいてい単なる量産品であり、使いやすさに優れていないことが多い。我慢して使い続けることはそれだけでストレスになり、また本領も発揮できない(たとえばキーボードが打ちづらくてミスタイプが頻発する等)ので、可能な限り抗いたい。つまり、(許されているなら)自分にとって使いやすい私物を使うか、あるいは経費で購入してもらう。

道具:

  • キーボード
  • マウス
  • 椅子
  • 小物入れ、書類入れ
  • ……

とはいえ、どこまでできるかは会社次第だろう。

私の例(キーボードとマウスのみを取り上げる)でいうと「原則支給品を使う」というルールになっており、他のキーボやマウスを使えるかどうかは部署次第、となっている。お堅い部署であれば部長や上司が許さないし、そうでない部署なら部長や上司からして私物を使っていたりする。私は以前、前者の部署にいたが、不便すぎたので異動した。今は後者の部署にいる。

ただし、後者の部署であっても「客先や常駐先では使えない」など追加ルール(この例では常識だが)があったりする。私は「客先訪問や常駐を絡む仕事はしない」ことにすることで不便を回避している。

おわりに

知っている方からすると当たり前のことを長々と書いただけかも。

書いてみて気付いたが、重要なのは方法よりも、

  • (会社だし)一見するとダメそうに見えるが、最初から諦めずに粘る
  • 根本的に不自由に染まっている類の仕事や部署には行かない

という姿勢なのかもしれない。