社内に Q&A システムを導入したいので概念と現状を整理する
Stackoverflow のような Q&A システム(コミュニティ)を社内に導入したい。
まず第一歩として、Q&A システムという概念と現状について(私見混じりだが)整理 してみた。
Q&A システムの要件
Q&A システムは以下を満たさねばならない。
- 参加者全員が質問と回答を投稿することができる
- 投稿した質問や回答はその場で即座に公開される(承認や査閲の類は介さない)
上記を満たさないものは Q&A システムではない。たとえば社内雑務に関する Q&A 集や上司承認を介さないと投稿できないようなシステムは Q&A システムではない。
Q&A システムの種類(公開範囲)
Public Q&A
インターネット上で提供されている Q&A システム。
例:
国内では知恵袋や教えてGoo!など全ジャンルをカバーしたサイトが有名だが、業務利用はされていない(ひそかに投稿している会社員はいるかもしれないが)。
発言小町(女性向け)、Stackoverflow(プログラマ向け)、Quora(実名制)など利用者やテーマを絞ったものもある。
Private Q&A
関係者のみ利用可能な Q&A システム。
例:
形態としては、OSS でソースを公開しつつも有料プランも用意……という形がメイン。Scoold(Java製のStackoverflowクローン)のようなクローンも出始めている。
国産は未だ無い模様(あったら教えてください)。当然業務利用という話も見当たらず。
「社内Q&A」というコンテキスト
「社内 Q&A」でググってみることで「国内では『社内Q&A』という単語に対してどんなイメージが持たれているか」がわかるだろう。簡単に調べてみた。
- カスタムアプリの特長 社内Q&A|サイボウズ Office 9
- Q&A システムではない
- 質問したら総務部にメール通知&総務部が回答をつくるタイプ
- 社内のQ&A対応で気をつけていること - け日記
- Q&A システムではない
- Q&A対応 = 社内向け自社製品について社員利用者から質問されるので答える
- 社内ポータルやエクセルを利用している模様(Q&A システムを使っているわけではない)
- Q&A でナレッジを共有しよう | Atlassian Blogs
- グループウェア Confluence の追加機能
- Stackoverflow のような使い心地に見える
- Yahooでは7000人の全社員が利用してて一日1.5Kもの投稿がされる とか
どちらかと言えば単なる「Q&A集」や「問い合わせ対応」を指すことが多い。そんな中、Yahoo の事例はまさに私がイメージしていたものである。
なぜ社内に Q&A システムを入れたいのか
私の期待をまとめておく。
まずQ&A システムには以下の特徴がある。
- 社員全員が自由に投稿&回答できるようになる
- 有益な質問は Vote や Follow などで順位付けされる
- ゲーミフィケーションにより社員の活動を促す仕組みもある
これを導入すると、以下メリットがもたらされる。
- 会社に関する情報は一元的に集まる
- 各個人に閉じていたノウハウやテクニックも共有されるため、多人数が助かる
- 順位付けの仕組みにより有益な情報が集めやすい
これは幸せなことではなかろうか。
続いて現状はどうかというと、以下のような運用だろう。
- 知りたい人がいちいちメールや問い合わせフォームから担当者に投げる
- 過去の知見が蓄積されてない&されていても全社全員がアクセスできない&できるとしても検索できない、で事実上たどり着けない
- 社内固有の事項なのでネットや書籍等で調べられない
- 結果として 個人でサクっと知ることができず、知っている人(問い合わせ先の部門となることも)に問い合わせる手間が生じる
私が思うに情報(ノウハウやナレッジ)というものは ググったらすぐに出てくるくらいの手軽さと速さで利用できるべき だ。しかし社内固有情報が相手だとそうはいかない。ネットには公開できないし、(会社にもよるだろうが)クラウドにも置けないから。
じゃあどうすれば実現できるのかと考えて、Q&A システムなら比較的簡単に実現できるのではと思っている。少なくとも Google のようなエンジンを自製したり、はてなのようなコミュニティを構築したりするといった無理難題ではない。
Q:まずはチーム内で運用してみたら? A:ダメです
なぜかというと 利用者の母数が少なすぎる から。
Q&A システムは言うなれば「コミュニティ」であり、「数の力」で成立するシステムだ。
利用者が何千、何万といるからこそ質問してもすぐに回答が返ってくるのだし、Vote や Follow などのアクション数も集まる、もっと言うと順位付けが機能する。
Q&A システムを成立させるには少なくとも百人単位で欲しい。できれば千。万以上でも差し支えない。それくらい集まらなければ、Q&A システムは「Q&A の体をなしたナレッジ投稿システム」に成り下がるだろう。
というわけで「チーム内で運用してみる」わけにはいかないのである。やるなら「大企業が」「全社レベルで一気に」試す他はない。
終わりに
私見も入り乱れているが、Q&A システムについて整理してみた。この分野がもっと盛り上がってくれたらいいなあ。
p.s. 「Q&A システム」だと長いしダサイので「qanda」という呼称にしたい。