フリーソフト利用申請の効率化を提案したいので現時点の意見をまとめておく
フリーソフト利用申請の現状と問題点について書き、その後で「こうすればいいのでは」という意見を書く。
なぜ申請が必要?
リスクを未然に防ぐため。
リスク:
- ライセンス違反してしまい、賠償請求
- スパイウェア/ウイルスが混入したフリーソフトを使ってしまう
- フリーソフトの脆弱性を突かれてしまう
なぜ申請制にすると防げる?:
- 利用機会を(申請というハードルを設けることで)物理的に減らせるから
- 利用前までのプロセスを強化すればリスクを減らせるから
- ウイルスチェックを義務にする → ウイルス混入を防止できる
- ライセンス調査を義務にする → ライセンス違反を防止できる
- 申請により責任を明確にし、会社として対処しやすくするため
- 責任保持者は申請者と承認者
- 会社としては何か起きても責任保持者をクビにすれば体裁を保てる
主な仕組み
以下の組み合わせ。
- 承認制
- 承認者としては上司、上長、情シスなど
- 承認が多段になることもある
- Excel や Wiki などに必要事項を記入する
- ウイルスチェック結果
- ライセンス
- ソフト名
- バージョン
- 入手先 URL
- 利用用途
- 利用期間
- ……
- 禁止リスト(ここに乗っているソフトは問答無用で利用禁止)
- 許可リスト(ここに乗っているソフトは申請不要)
フリーソフトに対する、あるべき認識
- PC 操作はいかに効率化できるかが重要
- 1 操作 10 秒の短縮でも、1 日 100 操作すれば 1000 秒の短縮になる
- 操作に要するコストを減らせば減らすほど、ノイズが減るので、仕事に集中できる
- Windows は効率という観点では優れていない OS
- Windows で PC 操作を効率化するにはフリーソフトを使う or 自分でツールつくるのが常套手段
- しかしつくるのは簡単ではないため、フリーソフトを使う
結論としてフリーソフトはバリバリ使って当たり前。
現状の問題点
記入事項が多すぎる
申請時に記入する内容が多すぎて申請に時間がかかる。
有効期限がある
半期ごとに再申請が必要、など有効期限があるせいで申請の手間が定期的に再発する。
記入に時間がかかる
特に Excel ファイルだと動作が重い、同時更新ができずに待ちが発生する、部署単位やチーム単位で別々につくるので後でマージが発生するなど記入に時間がかかる。
承認されるまでの時間が長い
使いたい時にすぐに使えない。2 日以上待たされることもある。
承認が形式的で意味を成していない
- 試しにそれっぽい理由でフリーゲームを申請してみたら通過したことがある
- 承認者は承認時、申請者の申請内容を見ているだけ
- 申請内容のフリーソフトに関する調査は行っていない
個人的な改善用途では容認されずらい
個人的な効率化、省力化、ストレス軽減程度の用途だと承認されづらい。
特に承認側が無理解 or 怠惰だと「よほど緊急性と必要性がない限り」一蹴されることがある。
承認可否が承認者の主観に依存している
たとえば承認者に嫌われてしまうと申請が一蹴されやすくなる。
改善したい箇所
フリーソフトは危険という認識
フリーソフトは危険だと一蹴するのは「パソコン使うと危ないから紙で仕事しろ」「車使うと危ないから歩け」と言っているくらいに無知にも程がある。無論、危険はゼロではないが、それは何の世界や道具であっても同じこと。
従業員の良識に任せれば良い。「何かあったら最悪クビになる」ことを周知しておけば、(危険を犯しそうな)無知な人は使わないし、無知でない人はそれでも使う。元々効率に無頓着は前者は無視すればいい。問題は、そうではない後者が、理不尽で不自由な承認制によって効率化を阻害されていることにあり、この阻害の根本原因が「フリーソフトは危険」という無知な認識である。この認識をなくすために、従業員各々の責任のもとで自由に使わせる方向性を採用する(そうすることで後者の人間の非効率阻害をなくす)べき。
申請時の記入事項 → シンプルにする
「ソフト名」「入手先」くらいで良い。
用途は問わない
フリーソフトは個人的な改善用途でも使うべきなので、いちいち用途は問わない。申請時の作文も面倒くさい。
管理する → 把握する
フリーソフト利用を管理しようと考えるから非効率になる。実用的には「承認が下りたフリーソフトはこれ」「承認が下りなかったフリーソフトとその理由はこれ」が把握できればそれで良い。
承認する → チェックする
承認するのではなく「そのフリーソフトを使ってもいいかを皆でチェックする」と考える。
たとえば申請内容を表示するサイトを用意し、全社全員が閲覧&コメントを書けるようにする。そうすれば「そのバージョンには脆弱性がありますよ」とか「そのソフト、もう更新停止しているみたいですね」とか「ウイルス対策ソフトの設定によってはウイルス誤検知することがあります」とかいった実用的な情報も集まりやすい。また「いいね」が使えるシステムなら賛同リアクションも見える。少なくとも無知な承認者数人よりは圧倒的に有意義。
なおコメントがない場合はデフォルトで利用 OK する。つまりコメントがなければそのまま利用可能になる。問題がある時だけコメントして対処するという形。
部門単位の管理 → 全社共通の共有
部門単位で利用管理するのではコストがかかりすぎる。全社全員が見れる場所に登録する、という形態にする。もちろん誰でも自由に登録可能。承認プロセスも介さない。
提案したい仕組み
フリーソフトを「登録」する:
- ブラウザから簡単に 登録 できる
- 登録後、全社全員が見れるサイトに情報が載る
- ここでコメントがあれば申請者は考え直し、場合によっては利用を停止する
- つまり「登録されたフリーソフト」の一覧が載っているサイト
- 1 ソフト 1 ページで専用ページがある
- 1 ページには「利用可能」「利用不可能」「利用不可能の理由」などの情報がある
登録画面:
- ソフト名、入手先 URL、ウイルスチェック結果のスクショ
- ソフト名
- 細かい表記ゆれをどう吸収するか……
- 入手先 URL
- チェックをかけて、海賊サイトの URL だったらエラーを出すなどする
- スクショ
- 「フリーソフトは危険だ」派を黙らせるためのパラメーター
- これがあれば何か起きても「ウイルス対策ソフトでは問題無かった」という逃げ道がつくれる
- 登録者名は本名公開固定
- 責任を見せるためにも匿名は認めない
コメントについて:
- 誰でも自由に書けるようにする
- 名前は公開 or 非公開が選べる
- 非公開:ハードルを下げるために匿名コメントも必要
- 公開:ゲーミフィケーションやアピールのために必要
- 名前は公開 or 非公開が選べる
- コメント例
- 例1:「そのバージョンには脆弱性がありますよ」
- 例2:「このソフト、もう更新停止しているみたいですけど」
- 例3:「ウイルス対策ソフトの設定によってはウイルス誤検知しますね」
- 例4:「このソフト、バージョン xxx からは商用利用できないです」
利用可否の判断について:
- 個々のページに「利用ステータス」パラメーターがある
- 利用可能
- 利用不可能
- 従業員はこのステータスを見て、利用可能だったら自由に使う
- 利用ステータスを更新できるのは登録者本人のみ
ダイレクトダウンロード:
- 可能なら入手先は「ダウンロード済のバイナリ等を置いた社内サーバ」にしたい
- いちいち公式サイトから DL するのは手間
- 公式サイトが潰れて使えなくなる可能性もある
- しかし再配布条件について調べないといけないのが手間か
この仕組みを浸透させた後の副次効果
- 無知な人がフリーソフトを知り、リテラシーと効率がアップする
- 「フリーソフトに詳しい従業員」という立場や仕事が生まれる
理想を言えば Stackoverflow や Yahoo 知恵袋のカテゴリマスターのような「メンテ役」が生まれると良い。フリーソフトで従業員(特に大企業にもなると何百、何千人)らを効率化できれば、それは大きな貢献となる。メンテ役だけでメシを食べる人がいてもいい。何なら「フリーソフト促進部」みたいな部をつくっても良いくらい。
教育
フリーソフトに関する知識や実践要領は実地的なものであり、自ら携わらない限り、身につくことはない。自ら携わってない者については、明示的な教育が必要である。
- 「フリーソフトは危険だ」が偏見であること
- フリーソフトが効率化において大いに役立つこと
- 代表的なカテゴリやフリーソフトの紹介?
- 各人が自分好みに PC の設定を変えるように、フリーソフトも自由に試すのが普通だということ
- フリーソフトを使う上でのリスクの種類と自衛方法
- フリーソフトの入手方法、説明書の読み方、使い方
- フリーソフト、フリーウェア、OSS の違い
- 「フリーソフト」という言葉の意味がケースバイケースである点について
- ……
とはいえ無知な者を引き上げるのは骨が折れるから、教育はあくまでも「"フリーソフトを使いたい人が自由に使える風土" を実現するための道具」として使うべきだろう。つまり「教育しているよ」という活動や実績の事実をもって否定派を黙らせる材料にする。
おわりに
まだまだ荒削りだが、言葉にしないと始まらないので、とりあえずダンプしてみた。
(余談) 私の思い
- 仕事 PC も、自宅 PC みたいに自由にフリーソフトを導入して効率化したい
- フリーソフトに詳しい人間というポジションを社内で得たい
- 自分主導で快適に仕事したい(コンサルやエヴァンジェリストのイメージ)
- あわよくばそれに見合った報酬も欲しい