「カクヨム」と「小説家になろう」で同じ小説を書いてみた上で使い勝手とか仕様とか比較する

割と長文エントリ。拾い読みしてもいいかもしんない。

==== 前提 ====

どんな作品?

  • ブクマ数が二桁も行かないような素人が書いたラノベ
  • 文字数は 30 万文字行かないくらい(薄いラノベ2冊分くらいか)
  • ジャンルは異世界転生モノではない、とだけ言っておく

投稿方法は?

  • まずはローカルで完結させた後、1日2~3話程度を予約投稿で投稿する
  • 投稿時間帯はコアタイム(通勤通学前、昼食中、退社後)を狙う
  • 宣伝活動や足跡作戦(ブクマやフォローをすると、された側が見に来るのでアクセス数や反応を稼げる)はしない

==== 総評 ====

もし「どっちを使ったらいいの?」と訊かれたら。

一言で

Ans: カクヨムが良い、と答えます。

三言で

  • 使いやすさ、書きやすさ、軽さはカクヨムが圧勝
  • なろうは利用者数が圧勝(カクヨムとは桁が一つ二つ違うと思う)だが、ブクマ二桁に満たない素人にはあまり関係がない
  • 利用者パワーで大差無いなら、使いやすいカクヨムでいいじゃん

==== 実測データ ====

アクセス数

Ans: なろうが多い。

完結後数日後時点のアクセス数を見てみると、2.5倍の差が出た。

  • カクヨム: 1000PV
  • なろう: 2500OV

なろうには「完結ブースト」があるように見える。連載中は1日 30-60PV程度だったが、完結直後は数倍以上の伸び。

  • 完結前日: 20PV
  • 完結日: 450PV ★完結ブースト
  • 完結日翌日: 350PV
  • 完結後2日目: 600PV
  • 完結後3日目: 400PV ★数日くらい続く模様
  • 完結後4日目: 80PV
  • 完結後5日目: 10PV

アクセス数の内約

実測データと簡単な見解を。

なろう

計 2500 PV。うちパソコンが 1000 PV、携帯が 150 PV、スマホが 1350 PV。二人に一人はスマホで読んでいる

またユニークだと計 550 PV。うちパソコンが 390 PV、携帯が 10 PV、スマホが 150 PV。スマホは 四人に一人 にまで落ち込んでいる。代わりに 七割はパソコンユーザー

以上を踏まえると、じっくり読んでいるユーザーの大半がスマホ だとわかる。スマホユーザー向けに読みやすさを確保するのが重要と思われる。

カクヨム

計 1000 PV。

エピソードごとの累計 PV は以下のようなイメージ(ただし 2018/06/02 に見た時の約 1500 PV ベースなので 1000 PV 時点ではない)。

  • 1話: 80 PV
  • 2話: 60 PV
  • 3話: 40 PV
  • 4話: 40 PV
  • ...
  • 20話: 15 PV
  • 21話: 20 PV
  • ...
  • 38話: 30 PV
  • 39話: 30 PV
  • 40話: 35 PV

緩やかな「く」の字をしている。つまり最初と最後が多くて、中が少ない。また最後よりも最初が多い。1話は一番最初に読むので当然ではあるか。

このアクセス解析では「読者は何話まで読んでくれているのか」がわかる。上記例の場合、3話には落ち込んでいるため、1-3話を「もっと読者を引き込むように」書く必要があるだろう。あるいは読みづらくて敬遠されている可能性もあるが。

評価数

Ans: 横ばい

  • なろうではブックマーク数が一桁、ポイント評価が数件
  • カクヨムではおすすめレビューが★一桁、フォロワーが一桁

ちなみにコメントや感想は無い。

(余談) なぜカクヨムは利用者が少ないのに横ばいなのか?

Ans: アクティブユーザー(評価を付けるユーザー)率が高いから、と予想

これは体感でしかないのだが、カクヨムはアクティブユーザー率が高いように思う。カクヨムのイメージは「はてな」に近くて、はてなアカウントを持っている人が気軽にスターを付けるような、そんなコミュニティ感があるように思う。

あるいは なろうの非アクティブユーザー率が高い と言うべきかもしれない。 小説を読もう! という読み専用のサイトも併設されているくらいだし。

==== 使い心地や仕様 ====

記法

Ans: カクヨムもなろうも同じ。

  • ルビは 鬱陶《うっとう》しい
  • 範囲指定ルビは 至極|煩《わずら》わしい

執筆

Ans: カクヨムが書きやすく、使いやすい。

カクヨムは非常に直感的かつシンプルで、ヘルプ読まなくても使えるレベル。さすが Web を牽引する「はてな」が運営しているだけある。

なろうはいまいち使いづらい(慣れてる人にはそうでもないみたいだが)。ただ入力ボックスを貼り付けただけ、みたいな。

パソコンでたとえるならカクヨムは Macintosh で、なろうは Windows。

ブログでたとえるならカクヨムははてなブログ(をさらにシンプルかつ軽くした感じ)、なろうは FC2 ブログ(設定豊富だけど細々してて使いづらい)。

予約投稿

Ans: カクヨムの方がきめ細かい。

カクヨムは HH:MM 単位で自在に指定できる。

なろうは HH 単位まで。

なろうは小説情報の総文字数が (まだ投稿されてない)予約投稿分も含めてしまう 点が辛い。早い話、10万文字の作品を全て予約投稿していたら、10話しか投稿してなくても10万文字と見えてしまい「1話1万文字かよ、読みづらそうだなこの小説」となる。

小説管理ページ

Ans: カクヨムが見やすく、また使いやすい。

カクヨムは概要ページから一発で編集ページに飛べる。なろうは飛べない(いちいち ユーザートップページ → 投稿小説 と辿る手間がある)。

カクヨムは UI/UX を意識してつくられている。なろうはつくられないように見える(画面が汚い、煩雑で分かりづらい)。ただしなろうも慣れたらそうでもない。

アクセス解析

Ans: なろうに軍配が上がる

なろうではアクセス傾向が細かくわかるので、研究/対策も考えやすい。

なろう

観点が豊富なのと、パソコン/携帯/スマホの内約を示してくれる点が優秀。

  • 全体PV/全体ユニークPV
    • うちパソコン、携帯、スマホの内約も分かる
  • 今日/昨日のPV数
  • 過去一週間のPV合計
    • 時単位の内約も分かる
  • 日別/月別のPV数/ユニークPV数
    • PV数ベスト10も分かる

カクヨム

シンプルだが物足りない。

  • 累計PV数
  • 話ごとの累計PV数

Google Analytics を使うともっと細かく計測できるらしいが、使ってないので知らない。

小説に付与できる評価

Ans: どっちもどっち(好みが分かれると思う)

なろう

  • ブックマーク
  • ポイント(文章評価とストーリー評価)
  • 感想
  • レビュー

カクヨム

  • フォロー
  • スター(いいねボタンみたいなもん)
    • レビュー
    • 応援

スターは二種類あって、作品自体に付けるレビューと各エピソードに付ける応援がある。どちらもコメントを残すこともできる。

対比

項目 なろう カクヨム
ブックマーキング ブックマーク フォロー
いいね機能 ポイント スター
コメント 感想 応援
レビュー レビュー レビュー

だいぶ違うようで、結構似ている。一番違うのは「いいね」部分で、カクヨムは単にスターを付けるだけだが、なろうは 1-5 ポイントを振るようになっている。

目次(表示)

Ans: 両者とも大差無し。

強いて言えばなろうが中央表示で、カクヨムが左寄せ。

目次(編集)

Ans: カクヨムが使いやすい。

なろうは「この話の前に追加する」と「削除する」しかできない。

カクヨムは「このエピソードの前に追加する」と「削除する」と「並び替える」ができる。加えて、この画面で各エピソードの文字数も見えるので、全体構造を把握しやすい。

==== おわりに ====

以上、前提からして偏っているとは思うが、まとめてみた。参考になるかしら。