コミュニケーションハラスメント

コミュニケーションハラスメントについてまとめる。はてなキーワードで言及されている定義 とはだいぶ違うが、私の認識をまとめたい。

コミュニケーションハラスメントとは

コミュ障に(その人にとって過度な口頭)コミュニケーションを強いるハラスメントのこと。

前提1. コミュ障のタイプ

  • 軽度……単なる人見知り
  • 中度……コミュニケーション経験が十年以上のレベルで欠如している
    • 例: 中高大とぼっちで過ごした
  • 重度……人と接すると吐き気や目眩などの症状に見舞われたり、精神的な病名が付いていたりするレベル

前提2. 口頭瞬発力

口頭コミュニケーションは非常に瞬発的なコミュニケーションだと言える。というのも相手の発言を瞬時に理解し、また自分の言いたいことも瞬時に考えて、第三者にわかるよう作文して発言するからである。この瞬発力を 口頭瞬発力 と呼ぶことにする。

口頭コミュニケーションをスムーズに成立させるためには お互いの口頭瞬発力に差が無いことが重要 である。もし差があるならば、瞬発力の低い側は高い側についていけず置いてけぼりを食らってしまう。あるいは高い側が低い側に配慮して待ちや追加説明を行うことになりスムーズさが損なわれてしまう。

コミュハラとは(より詳しく)

コミュハラの定義をより詳しく書くと、以下のようになる。

コミュニケーションハラスメントとは、口頭瞬発力の低い中度あるいは重度のコミュ障に対し、高い瞬発力を前提とするコミュニケーションを強いること。

コミュハラの加害者はそもそも口頭瞬発力という概念を理解しておらず、自身の口頭瞬発力が当然であることを疑っていない。そのため口頭瞬発力の低いコミュ障を単なる怠慢と捉え、本人のやる気と多少の慣れで改善できるものと誤認してしまう。実際は口頭瞬発力という一能力に雲泥の差があり、多少の経験でどうにかできるものではないため、低口頭瞬発力向けの配慮が必要となる。

ちなみに軽度のコミュ障についてはコミュハラとはならない。なぜなら軽度のコミュ障とは単に苦手だ、面倒だという意識の問題でしかなく、口頭瞬発力自体は備えているからである。適応も可能であり、たとえば会社では難なく馴染んでいたりする。

コミュハラを防ぐために

コミュハラを受けている被害者として、加害者に言いたいことをまとめてみた。

第一に、 口頭瞬発力という能力指標が存在することを理解してください

第二に、 口頭瞬発力の低いコミュ障に対しては口頭コミュニケーション量を物理的に減らして下さい。口頭瞬発力が低いと、処理可能な情報量も桁違いです。口頭瞬発力の高い人達を基準してはいけません。

わかりやすくたとえるなら、タッチタイプでチャットコミュニケーションを取っているチームに、タイピング経験のほとんどない(一本指でキーを探しながら打つレベル)人が放り込まれたとして、その新人にも同様のタッチタイプを要求するようなものです。能力的に、物理的に処理しきれないのです。かといっていちいち何十秒も、何分も待つわけにもいきません。

コミュハラ加害者は「甘えるな」「怠けるな」「頑張って食らいついて慣れろ」「これがうちのチームなんだよ、お前だけ優遇できるわけねえだろ」などといいますが、そうやって目を背けることこそが甘えであり怠けです。きちんと向き合って下さい。配慮してください。

具体的な手段はケースバイケースですが、たとえばコミュ障当人がタッチタイピングドキュメンテーションが得意な場合は、チャットやメールベースのコミュニケーションを重視すればよいでしょう。口頭よりは明らかに情報量が減りますが、その少ない情報量で仕事を回せるように調整してください。

口頭瞬発力の何年、何十年という蓄積の差は簡単には縮められません。むしろ今後将来を全て費やしても埋まらないくらい絶望的な差となっているケースも珍しくはありません。運動能力と同じです。運動経験の無い大人が野球を始めたところで、中高大と野球部に所属し、かつ社会人でも余暇を草野球に費やしている野球マンには追いつけません。